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腰痛・膝痛

疾患・病気
腰痛膝痛
知って学んで予防して
70~80%の人が腰痛を経験
   
 膝痛・腰痛の悩みはよく聞きます。とくに高齢になると加齢も手伝って多くの人の共通の問題のようです。痛みの原因はさまざまで、なかには重大な病気のシグナルということもあります。膝痛・腰痛の原因はなにか、またその予防方法について解説します。

日常生活でよく遭遇する膝痛・腰痛

 日本整形外科学会によると、膝痛は、潜在患者数が3000万人にもおよぶといわれ、とくに中高年の人に多い悩みとなっています。一方腰痛は、一生のうち70~80%の人が経験するといわれ、腰痛の自覚症状がある人は、人口1000人中約96人にのぼります。
 また、腰痛で通院中の人は1000人中約40人で、高血圧に次ぐ数字です。これほどよくみられる症状ですが、腰痛には時に重大な病いが隠れていることがあり、注意が必要です。


腰痛の原因は?
腰椎椎間板ヘルニアと腰椎捻挫(ぎっくり腰)
 中年者に多い腰椎の原因は、腰椎椎間板ヘルニアと腰椎捻挫(ぎっくり腰)です。腰椎ヘルニアは中高年の事務職に多く、中腰や悪い姿勢での作業で発生し、また喫煙者はリスクが高くなります。
 腰痛は、坐骨神経痛を伴うケースもあります。ぎっくり腰は重いものを持ち上げたときだけでなく、くしゃみや洗顔など、日常の何気ない動作でも起こりうるものです。ぎっくり腰がヘルニアを引き起こす場合もあります。
 60歳以上に多い腰痛の原因とされているのが、腰部脊柱管狭窄症です。最も特徴的な症状は、長い距離を続けて歩けない、間欠性跛行といわれるものです。安静時はほぼ症状はありませんが、背筋を伸ばした際に下肢にしびれが走り、前かがみの姿勢をとると症状が和らぎます。進行すると下肢の麻痺、便秘、尿の出が悪いもしくは尿漏れするなどの膀胱直腸障害の症状がでます。

発熱など危ない腰痛のシグナル
 腰痛といっても、重大な病気が隠れていることがあります。特に危険なシグナルは、①激しい痛み、②発熱、③急激な下肢の麻痺と膀胱直腸障害―の3つです。
 こうした症状は、ただの腰の痛みではなく、腹部大動脈瘤の破裂や、大動脈解離などの血管系の病気、がんの骨転移、背骨の感染症である化膿性脊椎炎などの可能性があります。
 また背中が曲がったなどの場合、骨粗鬆症によって背骨がつぶれる、圧迫骨折が起きている可能性があります。
 これらの症状が腰痛に加えてみられる場合は、整形外科を受診することをおすすめします。

姿勢は正しく
 腰痛予防には、日常生活で正しい姿勢を保つことが大切です。無理な姿勢を避け、猫背や片足重心など、一ヵ所に負荷のかかる姿勢はやめましょう。また、太りすぎにも注意が必要です。

 当院では、腰痛体操をおすすめしています。「仰向けで膝を曲げ、両手で膝を触るように起き上がる」へそのぞき体操、「うつ伏せで背筋をまっすぐに伸ばす」背筋伸ばし体操、「仰向けで両手を使って片膝を抱え込む」膝抱え込み体操などです。

膝痛の原因は?
 膝痛の原因のほとんどは、変形性膝関節症です。加齢により軟骨がすり減り、骨同士が接触して炎症を起こし、痛みを引き起こします。初期は、立ち上がり、歩き始めなどの痛みや、膝のこわばりが出て、進行すると、運動時や階段昇降時に痛みが出ます。また、関節に水が溜まって腫れ、正座ができなくなるといった症状が出ます。

体重をおさえ、適度な運動を
 最も大切なことは、体重の増えすぎに注意し、適度に運動することです。カロリー制限のダイエットだけを行うと、脂肪とともに筋肉までエネルギーとして消費されてしまい、筋力低下につながります。必要カロリーを摂取したうえで、全身運動と組み合わせることが大切です。
 中高年者には、有酸素運動と、下肢の筋力トレーニングを組み合わせた運動が適しています。有酸素運動は、平地でのウォーキングや水中歩行、水泳など、膝への負担が少ない運動が適しています。下肢の筋力トレーニングは、仰向けで膝を伸ばしたまま脚をあげ、太ももの筋肉を強化する運動や、片足を横に開いては戻すおしりの筋肉強化の運動があります。膝痛予防にぜひ試してみてください。

長期間の痛みは、かかりつけ医に
 腰痛、膝痛は、加齢とともに誰にでも起こりえます。適度な運動と適切な食事を心がけましょう。また、痛みが1ヵ月以内で改善する場合は心配ないですが、長期間続いたり、安静時にも痛んだりなど心配な場合は、すぐにかかりつけ医に相談し重症化するのを防ぐことが重要です。

【解説】川崎協同病院 初期研修医 鈴木花奈子